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日々の研修だより

2020/02/07

アナフィラキシーショックについて

アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入によって、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過剰反応」をいう。「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害が伴う場合」を、アナフィラキシーショックという。アナフィラキシーショックの診断基準は、皮膚症状(発疹、紅潮)・粘膜症状(口唇・舌・口蓋垂の腫脹)と呼吸器症状(呼吸困難、喘鳴等)または循環器症状(血圧低下、意識障害)が伴う場合、皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、持続する消化器症状(腹部疝痛、嘔吐)のうち二つ以上を伴う場合、急速な血圧低下(成人なら収縮期血圧90mmHg未満)の場合のこれら三項目のうち、いずれかに該当する時となっている。

 アナフィラキシーショクの初期対応としては、まずバイタルサインの確認(循環、呼吸、意識状態、皮膚、体重を評価)、助けを呼ぶ(救急)、アドレナリンの筋肉注射(0.01mg/㎏・最大量0.5㎎)、ショック体位(仰臥位で足を30㎝程度高くする)、酸素投与、静脈ルートの確保、心肺蘇生(必要に応じて胸部圧迫法)、バイタル測定の順で行う。ここで注意するべきなのは、アナフィラキシー発症時には体位変換をきっかけに急変する可能性があるために、急に座ったり立ち上がったりする動作を行わないようにすることである。

 アナフィラキシーショックは様々な薬剤や材料がアレルゲンとなるため、絶対に起こさないように歯科治療を行うというのは難しいが、問診により可能な限りリスクを減らすようにしなければならない。アナフィラキシーショックのアレルゲンは家族で似ているため、両親や兄弟姉妹に局所麻酔でアナフィラキシーの既往があるかどうかの確認、果物(グレープフルーツなど)にアレルギーがある場合にはグローブに含まれるラテックスが引き金となることがあるため、それらの確認、その他薬物へのアレルギーの確認などを事前に行う必要がある。

 アナフィラキシーショックは決してまれな疾患ではなく、さらに命にかかわるものでもあるので、歯科医師として細心の注意を払い、もし発生した時にもしっかりと対応をできるようにしておくのが重要である。

「参考資料」アナフィラキシーガイドライン(一般社団法人日本アレルギー学会)

研修医:餅原